ARTICLE

記事

プロとの音楽活動があなたの音楽の可能性を広げる!音楽活動を成功させる3つの要素

2.どのような形で音楽を「届ける」か

かつてバッハやモーツァルトの時代には、音楽を届ける手段は生で演奏するしかなかった。それから録音技術が発達し、ラジオ、レコードやCDなどを使うことで、いつでもどこからでも多くの人に音楽を伝えることができるようになった。さらに今ではインターネットを使って世界中の人に音楽を届けることができる。

私が若い頃はカセットテープやCD-Rにデモ曲を入れてリスナーや業界関係者に配布していたが、それなりに材料費がかかった。夜な夜な50枚のCD-Rを書き込んでは再生チェックを繰り返していたが、費用だけでなくかなりの手間も要していた。それが今ではYouTubeやSoundCloudにアップロードしておけば良いのだから手軽になったものである。

以下の表のように、現在において音楽を届ける形は多様に考えられる。しかし、それぞれに特徴があり、メリットとデメリットがあるため、目的に応じて適した形を選択する必要がある。

形態具体例メリットデメリット
生演奏ライブハウスでのブッキングライブ・生の魅力を伝えることができる・新規のリスナーにはほぼ届かない
・集客が少ないと金銭的負担がかかる
イベント出演・生の魅力を伝えることができる
・イベント来場者で新規のリスナーに届く可能性がある
・出演時間が少ない場合がある
・集客が少ないと金銭的負担がかかる
自主イベント主催・生の魅力を伝えることができる
・イベント全体を通して自由な表現ができる
・企画や準備、集客に手間がかかる
・集客が少ないと金銭的負担がかかる
ストリートライブ・金銭的負担が少ない
・通りすがりの人に聞いてもらえる
・音響はこだわることができない
・無許可で行うと中止や逮捕などのリスクがある
飲食店やショッピングセンターで演奏・食事や買い物などの目的で来ている人で新規のリスナーに届く可能性がある・出演できる場所を探すことがやや難しい
・それなりの演奏力が必要
録音CDやレコードなど・作り込んだ作品を届けることができる
・歌詞カードやジャケットなどにもこだわることができる
・制作費がかかる
・物理的に届ける必要がある
YouTubeやSoundCloudなどで配信・作り込んだ作品を届けることができる
・世界中に容易に発信できる
・アクセスされるにはそれなりの知見が必要
iTunesやSpotifyなどのストリーミングサービス・作り込んだ作品を届けることができる
・有料配信が容易にできる
・登録料が必要
・リスナー側がサービス登録している必要がある
生配信YouTube Liveや17などの配信サービス・生ライブに近い表現ができる
・リスナーとリアルタイムでやりとりも可能
・場合により一定の条件を満たす必要がある
・配信設備やスキルはそれなりに必要
VRChatなどの仮想空間での配信・生ライブに近い表現ができる
・現実離れしたビジュアル表現も可能
・きちんとした配信には大規模な環境とスキルが必要
放送テレビやラジオなど・広範囲、不特定多数の人に届けることができる・出演のハードルがかなり高い

これらの中から、自分に合った最適な形を選択する際に意識したい重要なポイントがある。それは、「音楽を発信する目的」だ。これは主に二通りある。

(1)すでにその音楽を知っているリスナーに満足してもらうため
(2)まだ知らない人に知ってもらい興味を持ってもらうため

メジャーアーティストで例えると(1)は有料配信やライブであり、(2)はPVの配信や歌番組への出演である。

身近な目線で具体例をあげれば、自分たちの音楽を知ってもらうためにYouTubeで音楽だけでなく映像もインパクトのあるPVを公開し、興味を持ったリスナーが一定数集まった段階で、そのリスナー向けにライブハウスでブッキングや自主イベントを行う、といった感じだ。

時代や文化によっては、特定のミュージシャンを目的とせず、ライブハウス自体を目的として訪れるリスナーがおり、ライブハウスにブッキングで出演することが新しいリスナーの獲得につながるケースもあるが、現在の日本のほとんどのライブハウスは、残念ながらそのような状況にはない。現在のライブハウスは集客をミュージシャンに依存している場合が多いのだ。新しいリスナーを獲得しようとライブハウスで無観客ライブを繰り返しているミュージシャンには、ぜひこの点を見返して欲しい。

このように、目的に応じて適切な形で音楽を届けることを意識することで、音楽活動の成果は大きく変わる。これらのプランニングについては、実は音楽関係者だけではなく、広く一般に商品のPRや広告を行っているような人の意見も的を射ていたりする。友人や家族などでこのような仕事をしている人がいれば相談してみるのも良いかもしれない。また、私が関わっているMUSIC PARTNERでは、音楽にも精通したマーケティングプランナーが在籍しているので、こういったサービスを利用するのも一つの方法だろう。

【音楽活動プランニングのご相談はこちら】